2009年8月18日火曜日

オバマ大統領の出生懐疑者の背後にあるもの

ハーバード大学のMahzarin Banajiとサンディエゴ州立大学のThierry Devosが、白人系アメリカは、どういう分けかアジア系、アフリカ系アメリカ人よりも白人系のヨーロッパ人をよりアメリカ人的であると認識しているという社会的潜在認知に関する研究を行った。この研究結果は何故多くのアメリカ人がオバマ大統領がアメリカ市民権を持たないという噂を信じてしまう事について説明を与える。

いわゆる「出生懐疑者」は、オバマ大統領がアメリカ出身である事を受け入れていません。この一見不合理な考えの原因の一部は「社会的潜在認知」にあります。これは私たちが自身の深いところで常に持っている仮定事項で、普段私たちはそれを意識することなく振る舞っています。

ハーバード大学のMahzarin Banajiは潜在認知を研究しています。昨年の秋に彼女は議会の科学論文振興の年次会議にてアジア系アメリカ人に対する偏見に関する研究についてジャーナリスト達に話しています。

”例えば、アジア系の有名人の名前を挙げたとしたらどうでしょうか? Connie Chungはどうでしょう? 彼女らはアメリカ人らしく見えないでしょう? そうですね、Hugh Grantと比べてどうですか? 私たちもこれは風変わりな研究だと考えてます。でもこれは、実際にそうなのです。”

驚くべき事に、白人系アメリカ人はHugh Grantのような白人系ヨーロッパ人をアジア系アメリカ人であるConnie Chungをよりアメリカ人的であると見なしていたのです。そして2008年に尾こなれた同様の研究で、白人がTony Blair前英国首相がオバマ大統領よりもよりアメリカ人的であると見なしているということがわかりました。オバマ大統領を異質であると見なす心理的なフレームワークは、医療保険用語を使うと「保証除外」といったところでしょうか。


難しいなぁ。今回の内容。内容は大変興味深い。

最後の方でオバマ大統領を異質とみなす心理は医療保険の除外対象でしょう、と言っています。つまり、保険の対象とならない潜在的な病気・・・とまでは言わないけれど、そのようなものだと言いたいのでしょう。オバマ大統領は保険義務化による実効的な国民皆保険制度の実施を目論んでいる(これが実現すればアメリカ人にとって素晴らしい事だと思うのですが)のでこういうジョークが生まれるのでしょうね。


  • birthers :  特にオバマ大統領の出生に関して何らかの懐疑を持っている人達の事を言うらしい。オバマ大統領がケニヤや中近東の出身で、アメリカ市民権を持っておらず、当然アメリカ大統領になる権利も持たない・・・と考えている人達の事だとのこと。適当な日本語が見つからない。「出生懐疑者」と言っておく。
  • cognition :  認知、認識力
  • implicit social cognition : 社会的潜在認知、社会で広く暗黙的に、潜在的に認知されている事柄
  • inherently : 生得的に、本質的に(inhere : (自動詞)生まれつきにそな割っている、内在する inherent : 生得的な)
  • somehow : どういうわけか
  • seemingly : 一見したところ
  • irrational : 不合理な
  • lie in… : 手がかりなどが・・・にある
  • pre-existing conditon : 保証除外対象となる条件 アメリカの保険で言うところの保証除外対象とは、例えば既に治療の手が入っている所の再治療に関しては、保険の免責事項となることが挙げられる。アメリカの医療保険はこのpre-existing conditon が非常に厳しくて、ある意味社会問題となっているそうだ。

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