2009年7月28日火曜日

オオハシは大きなクチバシで放熱している

Toucan: Put Heat on My Bill: Scientific American Podcast

オオハシの大きなくちばしはこれまで生物学者達を悩ませてきました。ダーウィンは交尾の相手を引きつけるためであると仮説を立てています。それとは別に、縄張り争いや果物の川をむく等に使うなど、これまで立てられている仮説は多岐に及びます。しかし、サイエンス誌に7/24に寄せられた報告では、何故鳥類の1/3が大きなくちばしを持っているのかに新たな説明を提供しています。著者らの報告では、オオハシのくちばしが大きいのは「顔に取り付けられたラジエータ」として機能しているからだと述べています。オオハシが自分の体を冷やす必要があるときには、くちばしは暖まっているのです。くちばしの大きな表面積は熱を効率よく大気中に放出します。実際に、科学者達はオオハシが睡眠の準備をするときはたった数分で体温を10℃程度下げる事ができると述べています。

科学者達は赤外線サーモグラフィ装置(同様の技術が熱感知カメラに使われている)を用いて、異なる環境温度下において、オオハシの体温を測定しました。その結果、環境温度が上昇するときはオオハシのくちばしの温度が上昇するのに対して、体温自体は上昇しませんでした。科学者達は、他の大きなくちばしを持った鳥類もこのようにして体温を調整しているのではないかと考えています。鳥は汗をかかないので、この便利な「放熱器」が羽を綺麗に保っているのは間違いなさそうです。

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題目の原文は「Toucan : Put Heat On My Bill」。put it on my bill.で・・・をツケといてくれる?の意味。itとheatは発音が似ているから、そこのところをかけているんでしょう。

オオハシのクチバシがヒートシンクの役割をしているかもしれないという話。これまでは、主にエサとなる果物を効率的に啄んだり、メスを引き寄せるためと考えられていたそうですが、環境温度とオオハシの体温、くちばしの温度をサーモグラフィで測定したところ、担っているのはそれだけではないという兆候が見られたとのことだそうです。つまり、くちばしが放熱器になっているらしいと。鳥は発汗しないそうなので、体温調節のための重要な器官ではないかと言っています。

やはり自然界では、明らかに目立つ部分にはそれなりの役目を担っているんですね。目立つリスクを負ってでも必要で、それだからこそ大きいくちばしは強さの象徴ってところでしょうか。

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  • toucan : オオハシ
  • bill : 請求書、明細書、(ここではクチバシの意味)
  • perplex : 当惑させる、迷わせる
  • attract : 魅力で引きつける、魅惑する、引きつける、誘致する、電荷などが引きつけるなど
  • mate : 仲間、相方、助手、配偶者、つがい、交尾相手など
  • range from A to B : AからBに及んでいる
  • as to… : ・・・ついては
  • shnoz : 鼻、俗語 (schnozz,nose)
  • strapped to… : ・・・に結びつけられた
  • beak : くちばし
  • heat up : (句自動詞)あたたまる
  • immense : 巨大な、広大な
  • dissipate : 消散する、拡散させ消す
  • lowers : (自動)下げる、低くする
  • in preparation for… : …に備えて
  • speculate : 推測する、仮説を立てる
  • regulate : 調整、統制する
  • ruffle : 逆立つ、しわが寄るなど

2009年7月14日火曜日

罵りは痛みを消す

イギリス、Keele大学の脳神経学者によると、「口汚い罵り」は実は肉体的苦痛を和らげる効果があるそうです。近く8月5日に刊行のthe journal of NeuroReport誌において、研究者達は罵りが殆どの言語と比べて違った物であることを発表します。罵りは、理性に訴えかける左脳よりも。感情を司る右脳を活性化させます。

研究者達は大学生達の手に冷水を浴びせかけ、本人の言うがままに罵りの言葉を繰り返させる実験を行いました。このとき、学生達は、罵りの言葉以外の発言を許された場合と比べて、この「冷たさのどん底」をより長い時間耐える事ができました。研究者達は、罵った学生達には心拍数の上昇が見られ、罵りが原始的な「恐怖」や「闘争」という反応を引き起こしていると言っています。

この研究は、罵りが古来よりある社会的現象であり、心理的、物理的影響の両方を伴う事を示唆しています。そしてまた、社会的に無難な言葉だったとしても、それはあなたが「クソ痛ぇ」思いをしていないとは限らない事も示唆しています。

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なるほど。物理的、精神的に痛い重いをした時は、確かに絶叫とともにその痛みを忘れたりしたり、そんな事をしたい気持ちに駆られますね。興奮状態が痛みを消すのは、多くの人が経験してる事かなと思いますが、罵りがそれと同じ反応を引き起こすって事なんですね。人間にとって意味のある言葉が、野性的な反応と関連しているってのがちょっと面白い。

そして、こういうことをマジメに実験研究している人達がいるのも面白い。

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  • profanity : 罵り、罵詈雑言
  • bleep : ビープ音で消す
  • f-bomb : (日本人にはイマイチピンとこない「Fu○k」の様な汚い言葉に対する隠語。直接口にするのがためらわれたり、文章にそぐわないがこの言葉を指して述べなければならないときに、これが用いられる。辞書とかにはのってない。wikipedia見たらこんな感じの説明が載ってた。F-wordとも。)
  • Profanity bleeps phyiscal pain. : 罵りが肉体的苦痛を打ち消す。(bleep はビープ音で消す事だから、ほんとならテレビ等でピー音でbleepされてしまうような汚い言葉が、場合によっては肉体的苦痛を消す・・・bleepする。といった感じかな)
  • relieve : 不安、苦痛を取り除く、軽減する、交代させる、解任する
  • upcoming : もうすぐやってくる★
  • issue : 論点、課題、発行物、刊行物
  • swearing : ののしること
  • cerebral : 脳の、感情より知性に訴える
  • reserved for… : ・・・のために確保されている
  • submerge : 水中にしずめる、水浸しにする
  • …of one’s choice : 自ら選んだ・・・
  • tolerate : 我慢する、大目に見る
  • abyss : 深淵、どん底
  • foul-mouthed : (日本語的に言うと、放送禁止用語使用者。口が悪かったってことかな)
  • downplay : 軽視する、蔑ろにする

2009年7月11日土曜日

Shell Sock : 甲羅の発達の秘密が明らかに

Shell Shock: Turtle Development Secret Revealed: Scientific American Podcast

亀は如何にして甲羅を得るのか・・・キプリングの小説のタイトルのように聞こえます。しかしこれは、科学者を悩ませてきた「問題」なのです。絶滅種、そうでないものも含めて、亀に似た、体を覆うように形作られている骨格を持つ生物はいません。科学者達は、進化の永い時間を経て、小さな骨のプレートが皮膚と融合したものであると考えています(亀の甲羅は皮膚と張り付いた構造をしている、と言う意味。分かりにくい)。しかしこれとは異なる経過を辿るという研究結果が7月10にScience誌に発表されました。

殆どの動物では、肩甲骨は肋骨の外に横たわる様に位置しています。しかし亀はそうなっていません。肩甲骨が骨で囲まれているような、進化上の中間型も存在していません。そこで日本の研究者達は、ニワトリ、ネズミ、スッポンの胎児の発達過程の比較を行いました。初期は全て同じ発達を経ます。しかしある時点でスッポンは異なる発達を示します。

発達を経る毎に、体の内部で自身を支えていきます。肩甲骨は肋骨に固定されます。肋骨は固定され続けますが、骨と筋肉の間に新しいつながりが生じます。次に甲羅が発達し、肋骨と融合し、肩甲骨を中に入れるように形作られるのです。

いわゆる小説のようなオチがあるわけではありませんが、事実として大変面白いですね。

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事実は小説より奇なり。しかしながらその「奇」に気づき真っ正面から解明を試みるには、相応の知識と労力が必要なものです。

カメの甲羅のような、肋骨、肩甲骨の周囲に構造物をもつ中間形態が存在しないことに注目し、胎児の発達のどの段階からカメ独自の発達が発生するのか調べたという事でした。肋骨と肩甲骨が融合→肩甲骨が筋肉と結合→甲羅が発達→脊椎、肋骨と融合、その結果肩甲骨は甲羅と背骨の内側に完全に仕舞い込まれてしまう・・・・という道筋をたどるんですね。

文意を捉えきれているか自身が無いが、ここまで。

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  • shell shck : 戦争神経症(ここではその意味で使ってないけど)
  • reveal : 露わになる、漏洩する、明らかにする
  • Rudyard Kipling : ルデャード キプリング (作家)
  • after all : 結局の所 ★
  • extinct : 絶滅した
  • fused with… : ・・・と融合する
  • pathway : 経路
  • Not so with… : ・・・に関してはそうではない
  • rib : 肋骨
  • shoulder blade : 肩甲骨
  • chinese soft-shelled turtle : すっぽん
  • encase : 入れる(ケースのような囲みのあるものに)
  • droll : 滑稽、ひょうきんな

2009年7月10日金曜日

その便利さにも関わらず、人々は科学を重要なものと考えなくなっている

Poll: Science, Though Beneficial, Losing Importance: Scientific American Podcast

世論調査の84%が科学が社会に与えている影響をほ大体は肯定的な物と捉えています。これはPew Research CenterとAmerican Association for the Advancement of Scienceによるそれぞれの電話調査による結果で、7月9日に発表されました。

73%のが基礎研究に対する政府助成金が長い目で見て割に合うと考えています。しかし、科学技術に対する重要性に関する国民の評価は、過去10年で落ちているように見えます。1999年には世論調査の47%が科学技術の発展がアメリカの成した最も重要な事であると答えました。現在ではたった27%がそう考えています。

そして、アメリカの人々がより承知しているのは、日常生活や健康に関する科学的情報です。例えば91%がアスピリンは薬局で買える薬であり、時として心臓発作の予防薬として使用することを知っています。しかしながら、電子と原子でどちらが大きいか答えることができたのは46%に止まりました。

あなたの常識的な科学知識を測定するために、pewresearch.org/sciencequizにてテストを受けてみましょう、先ほどの電子と原子の問題もそこに含まれています。

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冒頭の”The results are in, and, Americans pretty much like science.”がどう訳したら良いか分からず。

クイズのページ。

Pew Science Knowledge Quiz - Pew Research Center

問題自体はそれほど難しくないかと思われます。自分には英語の方が問題。特に比較的新しめな科学用語とか。

アメリカの科学好きは聞いた事があります。先進諸国の中でも科学リテラシーが高いという話も聞きますが、そんなアメリカでも「理系離れ」が進んでるんでしょうか。何故なんでしょうかね。そこまでは触れられていませんが、興味深い話題です。

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  • those polled : 世論調査の対象者
  • survey : 調査
  • conduct : 指揮する、導く
  • federal funding: 連邦政府の助成金
  • in the long run : 長い目で見れば(pay in the long run. 長い目で見れば割に合う)
  • be aware of.. : ・・・を承知している、気がついている
  • over-the-counter drug : 薬局で買える薬

性分化は寄生虫のおかげ?

Are Parasites to Thank for Sex?: Scientific American Podcast

「性」は進化の素敵な贈り物の一つ、私たちはそう考えているかもしれません。しかし、進化の観点から見ると、些か非効率でもあります。子孫を残すのに、適当な異性を探す必要が無ければ、繁殖はもっと楽なはずです。では、何故進化は性分化を考え出したのでしょうか?

生物学者達は寄生虫が原動力の一つとなったという仮説を立てています。現在、科学者達はその理論の検証を行う機会を得ました。単性生殖はいわばクローンを生み出す行為です。遺伝的に同一なため、同じものに弱い性質を持ちます。そのため、同じ寄生虫によって全て同じように死に至る事になります。しかし、性分化は遺伝子トランプをシャッフルするのです。

ニュージーランドに広く分布するあるカタツムリは有性生殖・無性生殖両方で繁殖を行います。研究者達は10年かけて二つの(有性生殖を行う集団と無性生殖を行う集団)カタツムリの集団を観察しました。どちらのグループにも多数の寄生生物が寄生しています。大方の予想通り、実験開始時には多数いた単性生殖を行うカタツムリは寄生虫の感染により多大な損害を被りました。有性生殖を行うグループの個体数は安定していました。実験結果はJournal American Naturalistに発表されました。

次、あなたが誰かにセクシーさを感じたとき、それは寄生虫のおかげなのかもしれません。

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ふーん。

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  • parasite : 寄生虫、寄生生物
  • perspective : 物の見方、観点、ものの見方、遠近法
  • do away with… : ・・・を排除する、・・・することを止める
  • come up with… : 思いつく、答えを見つけ出す
  • have had a chance to… : ・・・したことがある
  • asexual reproduction : 無性生殖
  • lead to… : ・・・に至る、引き起こす、もたらす
  • identical : 同一の、一致する、同室の
  • succumb to… : ・・・のために死ぬ
  • common in… : ・・・では良くある
  • live off… : ・・・に寄生する、すねをかじる
  • as expected : 大体の予想どおり
  • plentiful :  豊富な、多産な
  • suffer : 苦しむ、不快を経験する
  • be suffered… : ・・・損害として被る
  • be infected with… : ・・・に感染する

2009年7月8日水曜日

本当のマスメディア

Really Mass Media: Scientific American Podcast

携帯電話やインターネットでニュースを読む人が増加し続けています。ロンドンで先週行われた行われた科学ジャーナリストの世界会議にて、マサチューセッツ工科大学のKnight Scuence  Journalism Programの主催者であるPhilip Hilts氏が世界のインターネットと携帯電話の使用状況の概説を行いました。

「インターネットの使用者、購読者は15億~20億人に達します。議論のポイントは、北米ではインターネットが普及しているが、アフリカではそうではない所であり、人類は二つの異なる惑星に分かれて暮らしているような状況である事です。実際に、アフリカでの普及率は5.6%であり、アジアでは17%という状況ですが、この数値は急激に変化しています。現在アフリカでは12倍の速度で成長しています。アジアではおよそ6倍の速度です。普及していない場所でこそ最大級の成長があるのです。」

「携帯電話でニュースを読むことは、スマートフォンの世界的普及や、アフリカに通信ケーブルが敷設され利便性を受けられつつあるように、いままでは存在しないものでした。1980年には1120万台の携帯電話があり、普及はゼロ(ゼロ同然)でした。そして、現在の普及率が60%であることから判断すると、41億人の購読者が存在します。中国、インドは地球における携帯電話使用の中心地でしょう、それはアメリカ、ブラジル、日本、イギリスから続いて、そうなりつつあるのです。」

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携帯電話、インターネットによるニュース購読が、その普及率から見て、最大規模のマスメディアになりつつあることを指摘しています。

この手の話は昔から言われていますが、ネット・携帯大好き人間(・・・とマスコミ嫌い人間)の印象から来る希望的観測であるような話が多かったです。

具体的な数字で論拠を示されると説得力が増します。

しかしながら、途上国では、そもそも工業化やインフラ整備もままならない国が多いわけで、そういった状況で携帯電話やインターネットのように、非常に高度な有線通信インフラが必要なメディアが直ぐに普及するものでしょうかね?まずはテレビ・ラジオの様な電波によるメディアが普及するような気がします。高度な有線通信メディアはその後かな・・・と。加速度的な成長も直ぐに頭打ちになったりして・・・と思うのですが。それとも都市部への人口密集が数値上の普及率を押し上げていくのでしょうか。

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  • ever increasing numbers of people : 現在までの人々の増加(何かに関連する人々の増加と言った意味で、population=人口の増加といった意味とは違ってそうだ)
  • consume : 消費する(consuming (adj) : 破壊的 だって、へぇ)
  • via the internet : インターネットを通じて (via (prep) : 経由で、通じてなど、throwに似た意味だが、人とかでは無く、インフラ的なものの場合に使う事が多いのかな。辞書の用例を見るとそんな印象がある。)
  • subscriber : 購読者
  • short in penetration : 普及の不足(short in… : ・・・の不足)
  • penetration : 貫通、普及、洞察(言葉のideaが分かりにくいなぁ)
  • core of… : ・・・の中心
  • look at… : ・・・から判断する(Looking at… : で ・・・から判断すると)

科学報道の将来

Future of Science Coverage: Scientific American Podcast

世界科学ジャーナリスト会議にてサイエンティフィック・アメリカンの編集長であるJohn Rennie氏が、ジャーナリスト達が将来に行うべきことについて、議論を行いました。氏の評論はこのポッドキャストについても大いに関係のある事です。

「ここでの疑問は、科学記事が公共の福祉に寄与するにはどうすれば良いか?という事です。私はこの疑問には幾つかの回答があると思います。その一つは、(科学報道が)良い影響を与える事はそれほどないだろうという事です・・・つるし上げられる前にここを出たいので、言い換えさせて頂きますと、”少なくともある点においては”それほど影響は与えないだろう・・・と言うことです。もし、私たちの仕事が・・・詰まるところ、人々に科学技術について良く知ってもらうことであるのならば、例えば”何がガンを起こすか/直すのか”という記事は、その技術自体に関しては寄与できる事は少ないと考える分けです。」

「私は、実のところ、この問題はまた別の問題にダイレクトに関係していると考えています。それは、私たちが、科学報道というものが、科学報道の95%がそうであるように、「権威ある学会誌に興味深い論文が載った」という形として定義づけている、というモデルに従っていることです。実際それが科学報道を形作っています。私たちが科学の知識を十分に得る事以外は、科学技術が社会に与える影響とは全く関係がありません。それは(科学自体ではなく)科学報道が社会に与える影響なのです。それこそが科学報道なのです。」

「重要な論文が出版されたとしても、出版されたその時に科学が社会を変える分けではありません。現実のところ、科学がそれ自体の役割を果たすのには時間がかかるのです。研究によって新しい事実が発見されたならば、それをテストし、検証し、再構成するのです。新しい論文はそのような営みの出発点にはなりますが、実際のところ、科学技術の変化はかなりの時間の後に着いてくるのです。私たちが、何らかの発見がもたらすエキサイティングでドラマティックで革命的な変化について、大きな見出しを書いてから、長い時間が経過してからのことなのです。」

「報道すべき事になにか規定のようなものが必要とは考えていません。しかし、それが、編集者として科学報道とは何であるかについて考えるように努める責任がある理由なのです。」

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文意は大体合ってると思う。ディテールはグダグダ。

中々に興味深い話題。

多数の科学報道と、報道された科学技術が社会に影響を与え始める事に時間的ギャップがある事を指摘。そこから、科学報道自体は科学技術に影響を与えていない事が厳然たる事実である・・・と言っています。では報道の意義はどこにある?という考察・・・と言うか問題提起でしょうか。

もちろん科学報道には大きな意義があるでしょう。

そもそも時間的なギャップが存在するのは、普及させるためには技術の洗練が必須なためです。世間に受け入れられるために時期を待つ必要もあるでしょうし。投資も必要でしょう。そういう意味で、最終的に科学技術を受け入れるのは多数の非専門家という事になるわけです。その非専門家達が上手に科学技術を取り入れるためには、技術の取捨選択が必須です。取捨選択を行う知識を得るには、やっぱりある程度の啓発や予備知識が必要なわけで、科学技術報道はそこにこそ意義がある。

では、本来の意義に立ち返った時に、報道のスタイルはどうあるべきなのか?権威ある論文誌に査読付きで採用されたからと言って、じゃあ、それをどう伝えたら良いのか・・・それについては具体的に述べられてませんね。ちょっと残念です。編集長の話の続きが聴いてみたい気がします。

科学の報道の意義は、技術の取捨選択だけでなく、科学リテラシーの底上げとか、他にも沢山の意義があると思いますけどね。

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  • science coverage : 科学報道
  • outgoing : 費用、出費、社交的な、去っていく
  • remark : 評論、意見、備考
  • pertain to… : ・・・に関連がある、・・・にふさわしい
  • unlynche : ?(絞首台から逃れる?生還する?この場で吊されずに済む?かな)
  • amend : 改心する
  • there should be less of some of it : (ある点ではそれほど良くならないだろう、のような表現かな? some of it で「科学のある点では」と限定する事によって表現を和らげてるのだと思う。)
  • inform : 人々に情報を与える
  • I for one : 私個人としては
  • prestigious : 誉れ高い、名声のある
  • A constitute(s)  B : AはBを構成する
  • put into press : 出版する・・・でいいかな?
  • it takes time : ~するのには時間がかかる
  • to play itself out : それ自身が本来の役割を果たす
  • confirm : 立証する、確認する
  • rework : 作り直す、やり直す
  • landmark : 目的地などの目印、陸表、象徴
  • prescription : 規定、指示、処方
  • come down to : 降りてくる、下る、届く、及ぶ、するはめになる、落ちぶれて・・・になる、零落して・・・するはめになる
  • rethink : 再考する
  • count : 数える、重視する

2009年7月5日日曜日

絶対音感と遺伝の関連

Genetic Link For Perfect Pitch?: Scientific American Podcast

私たちは絶対音感が生まれ持って授かった才能であると考えているかもしれません。American Journal of Human Genetics誌にてそれ(絶対音感が生来的なものである)事のある証拠が紹介されています。

サンフランシスコのカリフォルニア大学の研究者達が、ネット上で1万人に渡って実施された(絶対音感の)テストの結果を調査しました。特に驚くべき所もなく、絶対音感を持つ人もいれば、持たない人もいるという結果になりました。

しかし、これと近い別な研究では、73組の家族を調査した結果、ヨーロッパ系、かつ絶対音感の持ち主の第8染色体に、ある遺伝子群を発見しました。どの遺伝子や同義遺伝子が主要な役割を担っているのか、より焦点を絞るには更に研究が必要です。また彼らは、比較研究のために、(絶対音感を身につけるための)同様の音楽的訓練を積んだ人々の調査研究を行うつもりです。

乳児が絶対音感を持つというデータもあるため、研究者達は、恐らく加齢とともに失われる絶対音感が、いわゆる「音感遺伝子」によって、子どものころの(音感を失う/身につけるのに)重要な時期に強化される(ために絶対音感を失わない)のではないかと考えています。

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ふーん。

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  • innate : 生得的な、生まれ持った
  • zero in on… : ・・・に焦点を絞る
  • intend to … : するつもり
  • individuals : 特定の個人
  • crucial period : (危機的、重要な時期)

2009年7月3日金曜日

多雨地域は北に動きつつある

Rain Zone Moving North: Scientific American Podcast

もしニューヨークに住む人に話しかけたとしたら、雨の話を聞くことになるでしょう。サイエンティフィック・アメリカンのあるニューヨークでは6月半ばから毎日雨が降っています。

まだ私たちは熱帯収束帯の中にはいません。熱帯収束帯とは、赤道の丁度北から太平洋にまたがった区域にあり、30000フィートに及ぶ暑い雲が年間13フィートに及ぶ降雨をもたらしています。

しかし、地球の最も雨の降る地域が、最終的には私たちの住む地域にたっするかもしれません。研究者は熱帯収束帯が年間1マイルに近い割合で北上しつつあることを”Nature Geoscience”誌にて発表しました。

これは非常に重要な事です。何故なら熱帯収束帯は熱帯地方に住む10億の人々に新鮮な水を供給しているからです。

研究者達は、太平洋のワシントン諸島について地殻の調査を行いました。ワシントン諸島は年間10フィートもの降雨量がある地域です。地殻のサンプルによってワシントン諸島はたった400年前には砂漠のような気候だった事を明らかになりました。パラオ諸島でも類似した状況があったことが分かっています。現在、パラオは熱帯収束帯の中心に位置しています。また、現在乾燥地帯の広がるガラパゴス諸島は、400年前には非常に湿気の多い気候でした。

21世紀半ばに差し掛かると熱帯収束帯が現在よりも75マイル以上北に来るだろうと、研究者達は予測しています。これは熱帯収束帯に関与している、関与するであろう人々にとって経済的、文化的な面で大きな意味を持つでしょう。

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熱帯収束帯なんてものがあるのを全然知りませんでした。実際は単に北上するだけでは無いでしょうが。気候変動は様々な規模で、様々なタイムスケールで起こるんだなぁと思いました。何故そんな事が起こるのかまで言及していませんが、ちょっと気になります。時間があるときにでもこの記事のソースになった情報を当たってみようかな。

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* intertropical : 熱帯気候の
* intertropical convergence zone : 熱帯収束帯(大気の循環により赤道付近に生じる低気圧帯。熱帯収束帯の周囲では気候が変動しやすく、積乱雲の発達や降雨が頻繁におこるらしい)
* equator : 赤道
* rainiest : 多雨
* eventually : 最終的には、結局は
* at a rate of … : ・・・の割合で
* reveale : 明らかになる
* arid : 不毛の、乾燥した
* profound(深い、意味のある) economic and cultural implications : 経済的、文化的に深い意味(含蓄、含意)
* climate : 気候

2009年7月2日木曜日

なぜ地球は凍ってしまわなかったか

Why Didn't Earth Freeze Completely?: Scientific American Podcast

炭素量の過多が地球温暖化を起こしている現在と異なり、前回の氷河期の間で炭素の量が少なすぎる事が我々の問題である(わかりにくいよ・・・「少なさ」が問題であると言っているけど、過去の氷河期に少なかったとは主張していないみたいです)。

過去の氷河期の原因の一部は何百年にも渡る岩石の風化作用が、大気中の二酸化炭素を海中に引き込み海底に定着させることにある。過去2500万年間の山脈の隆起は大気中の二酸化炭素全てを吸い込んでしまい、地球を凍死させているべきだろう。(わかりにくくてすいませんすいません・・・つまり、浸食作用によって大気中の二酸化炭素が岩石に定着する。プレートテクトニクス等の地面の大局的な移動によって岩石は海中や地中に移動する。海底で二酸化炭素が海中に溶け出して、海底に定着する。大気中の二酸化炭素濃度は減る方向に向かう。といったところだろうか)

しかしながら、このような事が起こったことはなく、二酸化炭素の大気中濃度は250ppmで安定している。

何故このような事が起こるのか?今週のネイチャーで研究者が発表した-植物である。

葉緑体は生存のためにCO2を必要とする。CO2濃度が著しく落ちる時は葉緑体は餓えている。研究者の言うところによると、火山等の二酸化炭素の供給源が大量に二酸化炭素を放出し、現在の植物が二酸化炭素を取り除く速度を上回ると、植物の数はあるレベルまで減少するとのことである。故に地球はある程度暖かさを保つ。

私たちの友(=植物)は地球が熱くなりすぎることから私たちを救ってくれているのかもしれない。しかし、最終的に私たちは自然の作用により取り除く事のできる速度を大幅に上回って二酸化炭素を排出し続けている。最終的には、私たちが二酸化炭素の排出を止める方策が必要なのである。

—Christie Nicholson

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論旨が意味不明です。訳文の話の流れは原文と違ってないと思うのですが。

地球が過度に慣例化に向かわない理由を植物に求めていたような話しだったのに、最終的には、火山等の自然に発生する二酸化炭素の放出と植物の二酸化炭素吸収の拮抗で地球は安定した気候を保っているという話になってしまった。また、二酸化炭素濃度が数百ppmのオーダーで上下することと、それによって植物が死んだり、増えなかったりすることとどのような因果があるのだろうか分からない。火山の役割は?この話からすると凄く重要なファクターのようだけど。たしか植物は光合成のプロセスで二酸化炭素を必要以上に取り込んだりはしなかったと思うが。吸収しすぎて死んだりしなかったと思う。書いている人は二酸化炭素をまるで毒であるかのように取り扱ったりしてないだろうか・・・というのは私の穿った見方か。

2009年7月1日水曜日

女性は男性よりハンマーの扱いが上手(という場合もある?)

Women Better Than Men with a Hammer: Scientific American Podcast

ハンマーなどの重い道具を巧みに扱うことに関して、女性は男性に比べて熟達していない・・・よく知られた固定観念に従うと、私たちはそう考るかもしれない。

ある状況では女性の方がハンマーを振るうのが上手であるかもしれない事が分かった。これはスコットランドのグラスゴーで開かれた実験生物学の年次会議で発表された。

研究者たちは金属にハンマーを打ち込む力と正確さを女性と男性とで比較測定を行った。また、明るい部屋と暗い部屋で打ち込む際の「型」がどうなっているかを確かめた(暗い部屋では、打ち込む目標として暗闇で光るマークを用いている)。

結果として、確かに、男性は女性の二倍強く打ち込む事が分かったが、明るい環境では、女性は男性よりも25%以上正確に打ち込むことが分かった。また驚くべきことに、両者とも暗闇での打ち込みの方がより正確であることが分かった。この結果は男性で顕著で10%以上の高い正確さを示した。

この調査は、女性と男性はそれぞれ、正確さと強さという異なる戦略を本質的に用いる事を示唆している。しかしこれらはまだ予備的な結論である。科学者達は、被験者を増やし、さらに色々な状況下でより詳しい実験を行う予定とのこと。

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結論に関してはまだまだ、何とも言えない感じです。ハンマーを上手に振るうための「戦略」はどのようにして決まるのでしょうかね。身体能力が戦略を選ばせるのでしょうか?それがたまたま、男女差としてあらわれたのでしょうか。それとも男性・女性というものが重要なファクターなんでしょうかね。後者の場合は道具を使う動作にも相当複雑な因果があるってことになりそうです。

  • adept 熟練した
  • wield 巧みに扱う
  • like say
  • turn out 結局・・・であることが分かる
  • have a leg up 優位に立っている
  • when it comes to … ・・・に関しては
  • inheretently 生得的に、本質的に(遺伝的、継承的にという意味も)
  • putting more emphasis on… ・・・重視の傾向が強まる
  • but for now しかし今のところは