2009年8月8日土曜日

100年来の物理法則に「法則の破れ」が観測される

Century-Old Physics Law Violated : Scientific American Podcast

Nano Letters誌にて、反射の全く無い物体からの熱輻射に関する良く知られた理論である「プランクの黒体輻射則」が、黒体に対して十分近く、かつ接触しないような距離に物体を置くことで、破れる事が発表された。

1900年に伝説的な物理学者であるマックス・プランクは「黒体」と呼ばれる反射の全く無い物質から熱エネルギーが放射されるとき法則を説明しました。しかし彼は黒体に対して、物質が非常に近接した状態に置かれている場合、その法則が破れるであろうとも言っています。

M.I.Tの物理学者達は、黒体に十分近い位置に、かつ接触させないように物質を置くことでプランク輻射則が実際に破れる事を終に発見しました。これは人々にとっても良いニュースです。

研究者達はまず、百万分の一メートルの位置に平坦な板を設置しました、これは十分遠い距離で、黒体からの影響はありません。しかし、ガラスの小球を10億分の1メートルの距離までに近づける事によって、輻射束の強さがプランクの法則による予測の1000倍以上にも達する事が観測されました。この研究はNano Letter誌の8月号にて発表されました。

これは応用の可能性の面で良いニュースです。例えば、ハードディスクや太陽電池は熱による温度上昇が効率性を阻害しています。もし、実際のデバイスに対して、極近い距離に物質を設置することが出来れば、そんなムダはなくす事ができるでしょう。


これは面白いです。プランクの輻射則の破れを直接的に観測した初めての例が出てきたというわけです。

光源に対して極近い位置に物質を設置した場合の電磁場の振る舞いは近接場光学などの分野で研究されています。黒体からの熱輻射も当然「光源」と見なせるわけで、近接場光の理論が適用されるわけです。今回の結果はそれらに対する実験的証拠を初めて観察したという分けなんですね。


  • century-old : 100年来の
  • legendary : 伝説的な
  • dissipate : 消散させる
  • apart : 隔てて
  • heat buildup : 熱による温度上昇
  • walk the plank : 先頭に立たせる、地位から下ろされる、

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